ヨガの呼吸法はなぜ大事?その効果とやり方を経験者が簡単アドバイス
「ヨガの呼吸法は、鼻から口から?」「アーサナ? プラーナヤーマ?とは」
「ヨガに呼吸が大事なのはわかるけど、より詳しく知りたい!」
ヨガの呼吸法に関して、冒頭のような疑問や難しさを感じることは非常に多いです。
呼吸法は、ヨガの三大要素(アーサナ・呼吸・瞑想)の一つでもあり、ヨガの実戦においてとても重要視されています。
普段アーサナを練習している方でも、「呼吸は意識しているけど、詳しくは知らない…」という方も多いはず。
むしろその辺りもよくわからない…安心してください。
本記事では、ヨガの呼吸法の具体的なやり方、重要性、そして効果などを詳しく解説していきます。
わかりやすく簡単にあなたの疑問にお答えしていきます。
ヨガの呼吸法「プラーナヤーマ」とは?
ヨガの呼吸法である「プラーナヤーマ」。「プラーナ」と「ヤーマ」を掛け合わせた言葉です。
「プラーナ」とは、「生命エネルギー」や「気」と訳されます。
熱が生じたりモノが移動したり内臓が機能したりするためには、エネルギーの流れが必要です。
ヨガでは、モノ・カラダの動きや変化をもたらす力(エネルギー)のことを「プラーナ」と呼んでいます。
そして「ヤーマ」は、「抑制」や「コントロール」と訳されることが多いです。
つまりプラーナヤーマとは、生命エネルギーである「プラーナ」を抑制する方法のこと。
より簡単に言えば、カラダの機能や呼吸などの動きを意識的にコントロールする方法です。
呼吸によってカラダの外からプラーナを取り入れて蓄え体内を循環させ、カラダの中に眠るエネルギーを目覚めさせることで心身を整えます。
そのため、プラーナヤーマは「調気法」や「呼吸法」と訳されています。
このプラーナヤーマの理論は、古代インドで生まれた知恵。
現代になって、呼吸により自律神経が整うことが明らかにされていますが、科学が生まれるよりもずっと昔から呼吸の仕組みを理解し理論化していたと思うと驚くことでしょう。
ヨガの呼吸法はなぜ大切なのか
当たり前ですが、人間は呼吸がなければ命が途絶えてしまう生き物。
血液の循環、脳への酸素の供給、有機物を分解することによるエネルギーの生成など、人間が生きるために欠かせない様々なシステムに呼吸が必要です。
ヨガにとって呼吸とは、この生理学的な役割以外にも様々な意味を持ちます。
カラダの中にプラーナ(生命エネルギー)を行き渡らせたり、筋肉やカラダを効果的に働かせヨガのポーズを深めたり、自律神経を意識的にコントロールすることも呼吸が担う重要な役割なのです。
そのためヨギーたちは、あえて呼吸に意識を集中する「呼吸法」を練習しているのです。
ヨガの呼吸法による効果
ヨガの呼吸法は、さまざまな健康効果をもたらすと言われています。
中でも、呼吸法を行うことの最大の効果は自律神経が整うことです。
満員電車での通勤通学、学校・職場・家庭での人間関係、長時間のパソコンやスマホの使用など、現代のライフスタイルには、ストレスや緊張によって自律神経が乱れる要素がたくさんあります。
そして自律神経が乱れることで様々な不調が引き起こされてしまいます。
自律神経の乱れによる症状と仕組み
自律神経の乱れによる症状
・小さなことでもイライラする
・頭痛
・肩こり
・不眠
・冷え性
・重いPMS、PMDD、生理痛
などなど…
自律神経の仕組みは、活動している日中には心身を興奮させる「交感神経」が活発になり、休息時には心身をリラックスさせる「副交感神経」が活発になります。
この二つの神経が交互に優位になりバランスが保たれているとき、自律神経が整っていると言えます。
しかし現代人の多くはストレスや緊張状態が長く続いてしまうことによって、交感神経が優位になり続けてしまい、自律神経のバランスが崩れがちです。
ヨガの呼吸法を用いれば、副交感神経が優位になるようにある程度コントロールでき自律神経のバランスを整えることができます。
結果として、うつ気分、頭痛、不眠など、心やカラダの様々な不調も解消することができるのです。
ヨガの呼吸法で意識する4つポイント
呼吸による恩恵を最大限に活かすためにも、ヨガの呼吸法で意識するべきポイントがあります。
それでは4つを簡潔に紹介していきます。
① 呼吸がしやすい姿勢で座る
あぐらや正座など、安定して呼吸がしやすい座り方を選びます。
両坐骨に均等に体重を乗せ、緊張が起こらない程度に骨盤・背中・首を直立に保ちましょう。
②バンダを意識する
バンダとは「締める」という意味。
のど、みぞおち、会陰部を引き締め、カラダの中を流れる空気やエネルギーをコントロールするためのヨガの手法です。
- ジャーランダラ・バンダ:アゴを引いてのどの奥の気道を締める。
- ウディーヤナ・バンダ:横隔膜を引き上げる。いわゆるお腹を凹まし、力を入れている状態。
- ムーラ・バンダ:会陰部の内側または肛門を引き上げる。
③ 無理をしない
特に初めのうちは、自分の体や心が心地良い程度に行うようにします。
呼吸法によって苦しくなったり、クラクラめまいがしたりする場合は無理をしていると判断し、調節してみましょう。
④ 生理、妊娠中の方、血圧トラブルを持っている方は腹圧をかける呼吸法は行わない
息を止め、腹圧をかける呼吸法は子宮を圧迫するため、生理中や妊娠中の方は避けるようにしましょう。
また、血圧をあげたり下げたりする作用もあるため、高血圧や低血圧の方は注意しましょう。
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ヨガの呼吸法を5つご紹介
ヨガの呼吸法には、アーサナ(ポーズ)と同じように様々なやり方があります。
そしてヨガの流派によってどの呼吸法をとるかが分かれているのです。
現在はハタヨガをはじめとして多くのヨガで腹式呼吸を行いますが、アシュタンガヨガなど動きの多いヨガでは胸式呼吸を行います。
腹式呼吸では「交感神経」に働きかけ、胸式呼吸では「副交感神経」に働きかけます。
呼吸法によってその目的や効果が異なるため、自分の状態やシチュエーションに合わせて選ぶと良いでしょう。
ここでは代表的な呼吸法5つを紹介します。
まずは基本とされている「腹式呼吸」をマスターし、慣れてきたら他の呼吸法にもチャレンジしてみるのがおすすめです。
腹式呼吸
鼻からの呼吸で横隔膜を動かす呼吸法です。
空気を吸うときに使われる筋肉の一種である「横隔膜」を上下させることで、お腹が拡大収縮します。
腹式呼吸によって横隔膜を大きく動かすことで、その周りの神経を刺激し副交感神経に働きかけます。
そのため、乱れた自律神経を整えるに効果的です。
・自律神経のバランスを整えられる
・血液の循環を促進し、細胞が活性化される
・体温を上げる(冷え性に効果的)
・リンパに働きかけ、老廃物が排出される
・内臓をマッサージし、消化機能を活性化させる(便秘に効果的)
・基礎代謝が高まり、痩せやすいカラダになる
おすすめの時間帯
腹式呼吸はヨガのアーサナ中に行うのはもちろん、日常生活でのスキマ時間など様々なシチュエーションで行うのがおすすめです。
・緊張やパニックを和らげたいとき
・夜寝る前にリラックスしたいとき
やり方
- 両手をお腹に当て、呼吸によってお腹が膨らんだり凹んだりする様子を確認しながら行います。
- 両鼻からゆっくりと息を吐きます。お腹の中の空気を全て出すイメージで、お腹がぺたんこになるまで吐き切ります。
- 凹ませたお腹を緩め、両鼻からゆっくりと息を吸っていきます。少しずつお腹に空気を入れるように数秒かけて吸い、お腹が膨らんでいくのを観察します。
- 10回程度繰り返します。
胸式呼吸
鼻からの呼吸で、胸郭を前後左右に広げて肋骨を広げ、肺を拡張する呼吸法です。
胸式呼吸を行うと交感神経を活発にするため、朝目覚めたい時、よく動く前などに適しています。
腹式呼吸と同様、血液循環の促進や基礎代謝アップによって痩せやすいカラダをつくることができます。
加えて以下のような効果も期待できます。
・交感神経が優位になり、集中力が高まる
・肋骨周りの筋肉が刺激され、インナーマッスルが鍛えられる
・脊柱や骨盤が正しい位置に戻り、正常な機能を取り戻す
おすすめの時間帯
胸式呼吸は、交感神経が優位になるよう働きかけるため、心やカラダを適度に緊張させたい時におすすめです。
・朝や昼の時間帯
・運動する前のタイミング
やり方
- 両手を胸に当て、呼吸によってが胸郭が膨らんだり凹んだりする様子を確認しながら行います。
- まずはアゴを引き、お腹と胸をぺたんこにするように息を吐き切ります。
- 鼻からゆっくりを息を吸います。胸の部分を徐々に膨らませるように、数秒かけて吸います。この時、お腹が膨らんでいないことを確認しましょう。
- 鼻からゆっくりと息を吐きます。胸が萎んでいくのをイメージして、吸う時よりも時間をかけて吐いていきます。
- 10回程度繰り返します。
片鼻呼吸(ナーディーショーダナ)
片鼻呼吸法では、腹式呼吸を用いながら左右の鼻で交互に吸ったり吐いたりを繰り返します。
右鼻から吸う時は交感神経が活性化され、左鼻から吸う時は副交感神経が活性化されると言われています。
左右の鼻で交互に呼吸することで、自律神経を整えることができカラダのバランスを整える効果があります。
おすすめの時間帯
・朝起きたタイミング
・緊張やストレスを感じている時
やり方
- 右手の人差し指と中指を曲げて、顔の前にセットします。
- 親指で右鼻を閉じ、左鼻から吸います。
- そのまま左鼻を薬指で抑え、15秒ほど息を止めます。(初心者の場合は、息を止める手順はスキップしましょう)
- 親指を離し、右鼻から吐きます。吸う時よりもゆっくりと時間をかけて吐いていきましょう。
- そのまま右鼻から吸います。
- 親指で右鼻を閉じ、15秒ほど息を止めます。
- 薬指を離し、左鼻から吐いていきます。
- このサイクルを3回ほど繰り返します。
ウジャイ呼吸
力強い胸式呼吸を用いる方法で「勝利の呼吸」とも呼ばれています。
喉の奥を閉じ、「シュー」というような摩擦音を立てながら行う呼吸法です。
この呼吸では集中力を高めることができ、ヨガのアーサナや瞑想に取り入れるのも効果的です。
胸式呼吸で紹介した効果以外にも、以下の効果を期待できます。
・呼吸器系の改善や喉の浄化を促し、いびきを改善する
・集中力が上がる
・頭がスッキリする
おすすめの時間帯
・心身が活発になるので、朝や昼の時間帯
・力強いヨガのポーズを行う時(鼓動が早くなりすぎたり、呼吸が上がってしまったりするのを防ぐことができます)
やり方
- 胸式呼吸で呼吸していきます。両手を胸に当て、胸の膨らみを感じながら行うとわかりやすいです。
- まずは息を吐き切ります。
- 喉の奥を締めた状態で、両鼻からゆっくりと息を吸います。喉が引き締まっているため、「シュー」という音が出ます。
- 喉を締めたまま、鼻からゆっくりと吐いていきます。
- 10回程度繰り返します。
カパラバディ呼吸
カパラが「頭がい骨」、バディが「輝く」という意味を表します。
つまり、頭をスッキリと活性化させる呼吸法です。
息を吸う時は自然に肺を膨らませ、吐く時に意識を集中させて力を入れるのが特徴的です。
・頭をスッキリさせ、リフレッシュできる
・腹筋が鍛えられ、ウエストが引き締まる
・内臓全体の血行をよくし、内臓機能が活性化する
・毒素を排出する(花粉症やアレルギー性鼻炎などの症状の改善に効果的)
おすすめの時間帯
・心身が活発になるので、朝や昼の時間帯
・思考をクリアにし、リプレッシュしたい時
やり方
- 両鼻から息を吸い、お腹を膨らませます。
- お腹の空気を一気に押し出すように、両鼻から1秒程度で吐きます。お腹の力は抜いておき、吐く時に横隔膜が引き上がる勢いでお腹が凹みます。
- これを20回繰り返します。吐く息だけを意識し、吸う息は自然に行います。
- 最後はゆっくりと長く吐き、お腹の中の全ての空気を出し切りましょう。
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ヨガの呼吸法に関するまとめ
ヨガの呼吸法は、自律神経を整え、カラダや心の様々な不調を改善することができます。
呼吸法は、自分のペースで時間と場所を見つけて実践できるので、ヨガのアーサナを行う時以外の日常生活にも取り入れていきたいですね。
プラーナヤーマを深く学びたい方は、手順や注意点がたくさんあり奥が深い行法なのでスプロの元で教わるのがおすすめです。
日常生活の中にヨガの呼吸法を取り入れ、心身をデトックスさせ快適な毎日を目指しましょう!