流行の兆し?”ソバーキュリアス”を詳しく考察【断酒】
今”ノンアル”市場が盛り上がりを見せている。
サントリーによると、ここ10年ノンアルコール飲料市場が4倍までに成長しているとのこと。
国税庁のアンケートでも、20代の約35%がほとんどお酒を飲まないと回答しているそうです。(出典:国税庁 「お酒に関するアンケートの集計」)
そこで、急浮上してきたワードが
”ソバーキュリアス”というトレンドワードだ。
今回のテーマは”ソバーキュリアス”という概念と、似ている意味をもつ”断酒”について深く迫る。
まだ、ソバーキュリアスに関してここまで深堀りしている記事はおそらくないのかなと思いますので、最後まで読んでいただけると幸いです。
ソバーキュリアスとは
そもそもソバーキュリアスとは?
英国生まれのルビー・ウォリントンという記者/編集者が、このトレンドワードの生みの親。
アルコールとの付き合い方を見直す『ソバキュリ』ブームを巻き起こしている。そう言うと、日本ではまだピンとこないのかもしれない。
なぜなら、このムーブメントは欧米のミレニアム世代を中心に盛り上がりを見せていることだからです。日本でも今後流行るのか?どうなのか?という段階なのかなと、個人的には睨んでいます。
政治やビジネス的にもアメリカと密接な関係のある日本ですから(良くも悪くも)アメリカでもし一気にビッグムーブメントと発展したら、アルコールではなく代替となるノンアル市場をビジネスチャンスと捉えることになり、自然に日本も同じ流れになるかもしれない。
ちょっと脱線してしまいましたが、そんな欧米で流行っているソバーキュリアスの話に戻します。
ソバーキュリアスは、
あえてお酒を飲まない生き方
ニュアンスとしては、飲まないことをポジティブにとらえて、健康的・充実・ハッピーな選択肢として自発的に断酒を選んでいるということ。
それが若者にとっては、あえて飲まないのがかっこいい!という価値観でどんどん広がっているというわけです。そして、ソバーキュリアスを実践する人は『ソバキュリアン』と呼ばれている。
断酒と似ているが少し違うソバーキュリアス。その違いに関しては、後ほど書いていきます。
ではソバーキュリアスがなぜ若者にうけているのか?考えてみたい。そこには2つのバックボーンがあるのではと考えます。
- SNSが常にある時代で、その情報量からお酒にいいことがないのを既によく理解している
- ミレニアル世代は、過去の世代の生き方、やり方に対して疑問をもっている
という2つです。
そして、ここでもう1つ関連する大きいキーワードが浮かび上がってきます。
ウェルビーイングとソバーキュリアス
そのキーワードとは
ウェルビーイング(well-being)
ウェルビーイングは、最近注目されているワードで直訳すると、『健康』、『幸福』という意味です。
つまり、ウェルビーイングとは、幸福で肉体的・精神的・社会的すべてにおいて満たされた状態のことを表します。ちなみに、これは結構根深いキーワードだと思っていて、もうすでにFIRE(financial Independence,Retire Early)という経済的自立と、早期リタイヤの流れと、
最近、副業や投資をする人もかなり増えてますよね。この、根底にはこのウェルビーイングを求めるというのがあるのではないかと、個人的には考えています。
ちなみにウェルビーイングもソバーキュリアスも、ミレニアム世代やZ世代などに特にあてはまるだけであって、個人的には世代など関係なしに、この考え方は素晴らしいことだと思っております。
では、少し話を戻すがなぜ若者にうけているのか。
ウェルビーイングのような、心と体の豊かさを求めるにあたって若者は、目にするもの口にするもの全ての物事に『意味』や『ストーリー』を求めています。
お酒を飲む時間も同様で、飲む際にも『意味』や『ストーリー』を求めていて、お酒を飲んで瞬間的に物理的に楽しくなるよりも、心の通わせれる気の知れた仲間と、シラフで他愛もない話をしてノンストレスで、心理的に満たされたいと感じているのが多い世代というわけです。
つまり、このウェルビーイングという根底的な時代の流れから、ソバーキュリアスに繋がっているというわけです。
ちなみに、筆者も1993年生まれの現在28歳でまさにミレニアム世代であり、ここまで書いていることには相当に共感できる、実際私の周りにいる友人ともよく話すが求めていることは皆近しく似ている。
では、最後にそんなソバーキュリアスと断酒について、考えていきたい。
ソバキュリアスと断酒
ソバーキュリアスとは前述でもある通り、
飲まないことをあえて選択して、シラフで本質的な幸福を求めていくということ。
お酒を飲まないとどのような変化が起こるのか。シラフで人と接するというのは実際どうなのか。など、お酒のない生活に疑問をもつということです。
つまり、ソバーキュリアスとはそのような好奇心を満たすために飲まないというわけです。
では逆に断酒に関して。
断酒界隈では有名なAA(アルコホリークス・アノニマス)という団体があり、世界180カ国以上、200万人以上が参加している(自由意思)
そのAAが提唱しているのは、『生涯断酒』
とにかく最初の1杯に手をつけないというのを謳っています。(私見ですが、AAの考え方もソバーキュリアスの考え方もどちらも素晴らしいと思っています)
AAは、すごくシンプルなように感じます。団体内、コミュニティー内で支援しあってAAが提唱する『12のステップ』というのを、守っていくという捉え方を私はしております。軸としては、一生涯飲まないと非常にシンプル。
誰でもAAのミーティングに参加できて、がんばりや辛さを共有しあえるという良さもあるのかと思います。
そこを踏まえつつ、新しく現れたのがソバーキュリアスですが。
このワードの生みの親ルビーウォリントン曰く、そもそもアルコール依存症自体、どこからが依存でどこからが依存ではないという明確なラインがなくグレーゾーンがあると。ですから、お酒との向き合い方や断酒のアプローチもグレーゾーンがあってもいいのでは?とのことだ。
とはいえ、『飲まないことをあえて選択している』と言われてもイマイチぴんとこない方もいるかもしれない。そこで、私なりにソバーキュリアスの定義を考えてみた。ソバーキュリアスは、
・自分にはお酒は必要がないということに気づいたから飲まない
・自分の内面に向き合い、自分が求めることに真っ直ぐ進むためには、行動を変えないといけないと気づいて飲まない
・二日酔いもないし、健康になっていく未来が楽しみでどうなるのか楽しみだから飲まない
・お酒を飲むことにより失敗してきて、この1杯を飲むとどうなるか予想できるから飲まない
・過去に対するストレスや未来に対する不安は、酔って忘れてもその場しのぎで、現実に向き合わない限り本質的な改善には繋がらないことに気づき飲まない